質問
2007年4月7日
「隣にいる彼女は、おまえの奥さんか?」と、数人のヨーロッパのプレス仲間に尋ねられた。いつもセッション中はピットレーンで取材することが多く、プレスルームにいても、タイミングモニターばかりを見ているので、隣がどんな人か、ボクはあまり興味がない。しかし、複数の人間に尋ねられれば、気になるもの。そこで初日の取材を終えて、夕方プレスルームに戻ってきたボクは、さっそく隣の席にどんな人が座っているのかを確認した。
座っていたのは、見知らぬ女性だった。ただ、日本人のボクが「日本人か」と思うほど、和のテイストを持った女性で、名前を尋ねてビックリした。「ユイ」さん。正確には「ユー・イー」と発音するのだそうだが、日本人には「ユイ」と聞こえる。地元クアラルンプールの東方日報新聞の体育組記者(スポーツレポーター)だそうで、2000年からマレーシアGPを取材し、昨年は中国GPにも行ったという。
しかし年に1回の取材では、現在のF1は複雑すぎるようで、ボクが席にいる間は、ほとんど質問してくるのである。「エンジンを交換するとどうなるのか?」、「土曜日はタイヤを何セット、使えるのか?」、「どうしてミディアムを履いて走行するドライバーと、ハードを履く者がいるのか?」、「雨が降ったら、タイヤは何を履けばいいのか」、「ピットレーンの速度制限は時速何km/hで、どんな罰金が科せられるのか?」、「金曜日のフリー走行に比べて、ほとんどのドライバーが土曜日のフリー走行は周回数が少なかったのはどうしてか?」
極めて基本的な事柄だが、これらの答えを説明していて気がついた。すべて最近変更されたレギュレーションと関係しているのである。したがって、たまにしかF1を見ない人にとっては、こうした基本的なことすら意外と知らないことなのかもしれない。そして、この基本がわからないと、いまのF1は興味が半減されるのである。
ユイさんはライコネンのファンで、土曜日午前中のフリー走行でライコネンが7周しか走行しなかったことが気になって、お昼休みにこう尋ねてきた。「ライコネンはやっぱりエンジンを交換するんですか?」
確かに、ほかのドライバーが軒並み10周以上走行している中、ライコネンとコバライネンだけが、ひと桁の周回数。しかも、そのコバライネンはクルマにトラブル(燃料ポンプ)を抱えていたと聞けば、ライコネンもトラブルが原因と考えるのは当然かもしれない。だからボクは、丁寧に次のように説明した。
「今年もエンジンは2グランプリを使用しなければなりませんが、今年は金曜日が例外で、フリー走行1回目と2回目はどんなエンジンで走ってもいいんです。だから、ライコネンは金曜日にトータル53周も走行しました。しかし土曜日からは2グランプリ・ルールとなるので、ライコネンはオーストラリアGPで完走したエンジンで走らなければなりません。しかもエンジンに少し不安を抱えていることは確かです。だからライコネンは、必要以上の周回を走行しなかったんだと思います。それにフェラーリ勢は、金曜日にセットアップを進めることができています。だから、そんなにたくさん走る必要もなかったのでしょう。そしてエンジントラブルに関しては、交換するほど深刻なものではないと、金曜日にチームからも発表があり、ライコネンはエンジン交換することなく、このまま予選とレースに臨むでしょう」
それを聞いたユイさんは「良かった。じゃ、もう安心ですね」と笑みをこぼした。
だから、ボクは最後にこう言った。「F1では、チェッカーフラッグが振られるまで、何が起きるかわかりませんよ」
それからユイさんは、もう質問してこなくなった。F1を説明するのは、なかなか難しいものである。
次回、GP Diaryは4月8日に更新の予定です。
お楽しみに。
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カスタマーシャシーに関して あまり表立った行動をしてこなかった TOYOTAとル
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