期待
2007年5月14日
「カタロニア・サーキットを走れば、クルマの調子がわかる」と言われている。高速から低速までバランスよくコーナーがレイアウトされているだけでなく、長いストレートもあり、エアロダイナミクス、車体バランス、メカニカルグリップなど、クルマの総合力が問われるからである。シーズン中だけでなく、オフシーズンもここでテストが繰り広げられるのは、一年を通して温暖な気候だからというだけでなく、コースがそんな特徴を持っているからでもあった。それゆえ、調子が悪いドライバーは、ここでクルマを走らせることを嫌がるとも言われている。
アジア・パシフィックラウンドを終えた段階で、パナソニック・トヨタ・レーシングの2人は、ヤルノが3戦中2度の入賞を果たし、ドライバーズ選手権で7番手と、開幕戦の入賞以来、足踏みが続いているラルフをリードしている。さらに予選でも、ヤルノは開幕から3戦連続でトップ10を獲得しているのに対して、ラルフはバーレーンで14番手に沈んだ。明らかにヤルノのほうが序盤戦は流れに乗っていた。
ところが、スペインGP直前の合同テストで、初日TF107を走らせたのはヤルノではなく、ラルフだった。チームはなかなか調子が出ないラルフに少しでも多く走る機会を与えて、TF107を乗りこなしてもらおうとした。2月のテストではリアタイヤの摩耗を抑えるためのセットアップを急ぎすぎてしまい、結果的にラルフにとって乗りやすいクルマに仕上がっていなかったのである。
開幕3戦を終え、リアタイヤの摩耗に関しては、チームはひとまず解決の糸口を見いだした。そこで、今度はラルフが乗りやすいクルマになるように、さまざまなトライをテストで行い始めたのである。
「私がマレーシアとバーレーンで、路面グリップが低い状況でのフロントの挙動に問題を抱えていたことは確かである。そのため、スペインGPに向けて、今回のテストではそれを改善することが最大の目的だった。非常に多くのセットアップ変更を試した結果、私はTF107をいままで以上にスムーズに操縦することができるようになった。これは私にとって助けとなり、問題は解決したように思う。もちろん、今日のテストの成果がどれだけのものかは、来週のレースを待たなくてはならないが、私は結果を楽しみにしている」
クリアラップがうまく取れずに、17番手に終わった予選。第1ピリオドで13番手だったヤルノとの差は0.16秒。順位ほど悲観する走りではなかった。さらにレースではスタート直後の10コーナーで他車の追突に遭い、緊急ピットイン。レースは終わったかに思えた。しかし、ピットインしたラルフは、ダメージを負ったタイヤを交換すると同時に、1回目のピットストップを伸ばすために燃料を追加してコースに復帰。あきらめずに前を追い始めるのである(写真右)。追突の際にリアウイングの翌端板にもダメージを負い、クルマのバランスは必ずしも良くなかったはずだ。それでもラルフが走り続けたのは、「テストの成果がどれだけのものか、結果を楽しみにしていた」からではないだろうか。
結果は残念だったが、最終的にリタイアを決断するまで、ラルフの走りをコースで見ていたボクは、ラルフがバルセロナで1周でも多くの走行を試みていたことがうれしかった。結果は、また次の楽しみにするとしよう。
次回、GP Diaryは5月18日に更新の予定です。
お楽しみに。
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kfc03355さん|2007年5月17日19時20分
ヤルノもラルフも、そしてエンジニアの皆さんも今回は残念でした。
「トラブルの1回目は神様の責任、2回目は個人の責任、3回目は全体の責任」とよく云われます。教科書のない先端技術の世界では1回目の故障は人間には防ぎようがありません。2回目はほぼ担当した人間の責任ですが、同じ故障の3度目となるとたとえ特定の誰かのミスであったにせよ、作業環境整備や後の多重チェックでそれを除ききれない組織の方に問題があると云わざるを得ないでしょう。
今年もあと13戦あります。筆模様のマシンがトラック上に居る限り応援し続けますので、途中でTVのスイッチを切りたくならないレースを「期待」しています。
Worldly Acrobatさん|2007年5月17日22時31分
1年17回の戦いのうちにはこんなこともある。次のモナコに期待しよう。あそこはなかなかゲンの良いところだろう、パナソニックトヨタには。