春秋
2007年5月18日
22台中、じつに8台ものクルマがリタイアに終わった第4戦スペインGP。完走台数14台。率にすると約63%。昨年のレースで、この数字を下回ったのは、6回ある。マレーシアGP(完走14台)、オーストラリアGP(完走13台)、ヨーロッパGP(13台)、アメリカGP(完走9台)、ドイツGP(完走12台)、ハンガリーGP(完走13台)だ。これをヨーロッパラウンド以降に限定すると4回となり、さらにドライコンディションに限ると、3回になる。そして、スタート直後の1コーナーで大きなアクシデントが発生するという特別なケースを除くと、2回だけとなる。パナソニック・トヨタ・レーシングの2台がリタイアに終わった先日のスペインGPの決勝レースは、そういう意味ではかなり稀な展開だったといえる。
このような結果となった背景には、今年のヨーロッパラウンド開幕が、アジア・オセアニアラウンドから4週間空いていたことが少なからず影響していたと考えられる。ほとんどのチームがエアロダイナミクスパッケージを変更してきただけでなく、戦闘力を上げようとギアボックスなど車体のあらゆる部分を見直してきた。チームによっては、開幕戦とはまったく違ったクルマに変身しているところもあり、まるでスペインGPが今シーズンの開幕戦であるかのように、各チームのクルマはリニューアルされていたのである。こうした改良が結果的に信頼性を損ない、完走率の低いサバイバルレースを演出した可能性は充分考えられる。
もうひとつ、スペインGPで興味深かったのは、スタート直後の混乱時と、周回遅れになる場面以外で、基本的にオーバーテイクが見られなかったことだ。今年のスペインGPが行われたカタロニア・サーキットは、冬季に最終コーナー手前が改修され、シケインが設けられた。メインストレート手前に低速セクションができたことで、立ち上がり方によっては、続くストレートでの伸びに大きな差が生まれ、これまでよりも多くのオーバーテイクシーンが見られると期待したが、結局ボクが見たオーバーテイクシーンは、スタート前にエンストしてピットレーンからスタートしたヤルノが、レース序盤にスパイカーを抜いたシーンだけだった(写真左)。
これは、最終コーナーの脱出スピードが、昨年までとほとんど変わらなかったからで、パナソニック・トヨタ・レーシングの新居章年テクニカルコーディネーション担当ディレクターも、「予想していたよりも、最終コーナーの通過スピードが上がっていて驚いた」という。昨年までの最終コーナーはひとつ手前も同じような右の高速コーナーだったため、最終の高速コーナーでは少しアクセルを戻しながら脱出していたが、今年はシケインを立ち上がった後、最終コーナーは全開で抜けていくため、通過スピードという点ではほとんど変わらなかったらしい。さらにカタロニア・サーキットの1コーナーは中高速のS字カーブとなっているため、ブレーキング競争になりにくかったこともオーバーテイクを演出できない理由になっていると説くドライバーもいた。
そんなカタロニア・サーキットでレースを見ていて脳裏に浮かんだのが、富士スピードウェイである。富士スピードウェイも以前は最終コーナーが高速コーナーだったが、改修によって約1.5kmあるストレートの手前に低速セクションが設けられた。これでは、今年のスペインGP同様、富士スピードウェイでもオーバーテイクシーンが見られないのではないかと不安になったからだ。ただし、そんな心配は杞憂に終わった。ある関係者によれば、富士スピードウェイの場合、「1コーナーがカタロニア・サーキットと完全に異なる形状をしており、カタロニア・サーキットよりはブレーキング競争が見られるのではないか」というのである。
サバイバルレースもドラマチックでいいが、秋の富士スピードウェイでは、コース上で何度もオーバーテイクシーンが見られるレースが展開されてほしいものである。
次回、GP Diaryは5月24日に更新の予定です。
お楽しみに。
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