進化
2007年8月6日
前戦ヨーロッパGPが終わった後、ボクはすぐに日本に帰らず、しばらくドイツにいた。ある取材で、TMGに行かなければならなかったからだ。そこで、エアロダイナミクス担当のエンジニアから風洞施設の中で話を聞く機会があった。目的の取材を終えた後、しばらくボクは彼と雑談していた。ちょうどそこには1/2スケールのモデルカーがあった。そして、そのモデルカーを見ながら、彼は今年のTF107のエアロダイナミクスについて、こうつぶやいたのである。
「ウチのエアロダイナミクスは、そんなに悪くないと思うんですよね」
誤解しないでほしいのは、現在の成績にもちろん、彼は満足していなかったということだ。悲願の一勝を誓って臨んだ6年目のシーズンで、いまだに勝利から見放されている現状に喜んでいるスタッフは、TMGに誰一人としていないことは確かである。しかし、それは今年のクルマが失敗作だったということとイコールではない。
例えば昨年、パナソニック・トヨタ・レーシングがシーズン中に目標に掲げた相手はチャンピオンチームのルノーだった。予選では何度かルノーの前に出たこともあったが、結局彼らに追いつくことはできなかった。しかし、チャンピオンマシンのR26をベースに開発された今年のR27を、TF107は予選と決勝レースで何度も凌駕し、今回のハンガリーGPのレースでもラルフは2台のルノーに先着している。つまり、昨シーズン終了後から今シーズンの開幕までに、パナソニック・トヨタ・レーシングは昨年のチャンピオンチームをしのぐ進化を見せたのである。
ところが、上には上がいた。マクラーレンとフェラーリである。彼らはトヨタを大きく上回る目標を設定し、今シーズン完全に頭ひとつ抜け出した形でタイトル争いを演じている。もちろん、現在のトヨタのターゲットは、ドライバーとコンストラクターの両選手権でトップを走るマクラーレンである。
「目標の設定がやや甘かったと言われても仕方ありません。でも、TF107は決して失敗作じゃない。今後、進化するスピードを加速させれば、必ずやトップ争いを演じられるクルマとなるポテンシャルを秘めています」
ハンガリーGPの予選第2ピリオドでヤルノが見せたパフォーマンスは、それを証明するような走りだったし、日曜日のレースで終盤までマクラーレンのフェルナンド・アロンソの猛追を抑えきって、最終的に抜かれはしたものの6番手を獲得したラルフの走りは、今後の活躍を期待せざるを得ない素晴らしいものだった。次戦トルコGPまでの2週間の夏休みが長く感じる、真夏のハンガリーGPだった。
次回、GP Diaryは8月10に更新の予定です。
お楽しみに。
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ラルフ・シューマッハが予選5番手から6位入賞。ヤルノ・トゥルーリは予選8番手(フ
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