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Rd.09 イギリスGP

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躊躇

2008年7月6日

確かに12番手と14番手というスターティングポジションを考えれば、ヤルノ・トゥルーリの7位という成績は悪くない結果かもしれない。しかし、パナソニック・トヨタ・レーシングの2人が1周目のコントロールラインを通過した時点での順位は、ヤルノが7番手、ティモ・グロックは9番手である。その後、5番手で通過したネルソン・ピケ(ルノー)と8番手で通過したロバート・クビカ(BMWザウバー)がリタイアしたことを考えると、「もう少し、上のポジションでフィニッシュできていた可能性はあります」という新居章年テクニカルコーディネーション担当ディレクターの言葉にもうなずける。

それでは、なぜパナソニック・トヨタ・レーシングの2人は1周目の順位を上回ることができなかったのか。最初の理由は、20周目あたりから降り出した小雨だった。徐々に乾いていく路面では、スタンダードウエット(浅溝)タイヤは、表面がややすり減った状態のほうが高いグリップ感を得られるが、しぶきが上がるようながコンディションでは溝がしっかりと残っているウエットタイヤのほうが排水性の良いのでペースが上がる。1回目のピットストップでタイヤを履き替えたマクラーレン勢がコンスタントな走りをしていたのに対して、交換せずにスタート時に装着したウエットタイヤのままコースに復帰したフェルナンド・アロンソ(ルノー)とキミ・ライコネン(フェラーリ)が、ペースアップに苦しんだのはそのためだと思われる。

このとき、1回目のピットストップを長めに設定していたパナソニック・トヨタ・レーシングの2人も、摩耗が進んだタイヤで雨量が増したコンディションの中、ペースダウンを余儀なくされていた。それまで1分34秒台から1分35秒台のラップを刻んでいたティモのペースが、23周目に1分38秒台に急落したのはそのためである。そのティモよりも1周遅くピットインしたヤルノは、さらにもう1周遅いラップを刻まなければならなかった。ティモがコース上で失った時間は4秒。ヤルノは13秒だったと推測される。

ティモより2周ピットインが早かったロバート・クビカ(BMWザウバー)と、ティモより1周早くピットインしたルーベンス・バリチェロ(ホンダ)に、1回目のピットストップ後にパナソニック・トヨタ・レーシングの2人がかわされたのは、それが原因だった。

さらに1回目のピットストップで燃料を多めに搭載したため、直後の35周目に強い雨が降り出したとき、タイヤ交換のタイミングを躊躇してしまう原因も作ってしまった。エクストリームウェザー(深溝)タイヤを履くというギャンブルに出られなかったとしても、38周目にピットインしたルイス・ハミルトン(マクラーレン)、ニック・ハイドフェルト(BMWザウバー)、クビカと同様に「新しいスタンダードウエット(浅溝)タイヤに履き替えるという作戦に切り替えたほうが、結果的には良かった」(新居章年テクニカルコーディネーション担当ディレクター)かもしれない。

それを躊躇させたのは、早めにタイヤ交換を行うというギャンブルが完全に裏目に出て惨敗した、今年のモナコGPのトラウマではなかったか。

また、そのような状況の中、なんとかポイントを獲得したヤルノに対して、スピンを喫して入賞圏外に脱落したティモの失速についても触れておこう。今回、ティモのフロントウイングは直前のシルバーストーン・テストでも試していない最新のものだった。効率のいいエアロダイナミクス仕様となっている最新エアロパッケージは、ストレートスピードがよく伸びたものの(レース中の最高速はトップの274.2km)、絶対的なダウンフォースはヤルノよりも低かった。そのため、濡れた路面での操縦はヤルノより難しかったのである。したがって雨が徐々に乾いて、もしドライタイヤを履くような状況になれば、結果は変わっていたかもしれない。

もちろん、天候は皆に平等であり、レースはそれも含めても結果がすべてである。ただ、散々な結果に終わったモナコGPに比べれば、2台そろって完走し、うち1台がポイントを獲得した今回のイギリスGPは、「昨日の予選結果を考えれば、悪くはない」(ヤルノ)と、ボクも思う。

モナコの借りは、シルバーストーンで返したパナソニック・トヨタ・レーシング。レッドブルを逆転して、後半戦へ突入する。

次回、GP Diaryは7月11日に更新の予定です。
お楽しみに。

コメント

FLANKERさん|2008年7月7日12時1分

そうでしょうねえ、あの時はこのサイトでもクソミソに書かれましたからね。
モナコみたいに狭苦しいコースではないので抜くことはできた、
かもしれないので(実際バリチェロは抜いていったし)換えるべきだった
のでしょうけど、実際放送を見ていてトヨタは決断力に欠けるとは
思いませんでした。ホンダはうまくやったな・・・と。
もちろん戦略について精進が必要なことは間違いないですが。
レーススタッフにとっては、どちらかと言えば忘れてしまいたいほうの
レースでしょうけど、今回の2ポイントは結構重要なんじゃないのかなあ。

yassyさん|2008年7月7日20時24分

雨天時のタイヤ選択でギャンブルに出る話になると思い出されるのは、2005年のベルギーですね!あの時はギャンブルを決断しなければ、おそらく初優勝してたんですよね・・・。
でもチャレンジャーの立場は、あのときから変わっていないのですから本社のプレッシャーに負けずにトライして下さい!
トヨタのチャレンジは、アンダーソンが非力な2T-Gで走った頃から不変であると信じています。

みんなスピンさん|2008年7月7日21時22分

今回得た教訓は何だろうか。雨が降って路面が濡れたならより滑りにくいタイヤを選択するのは当然だと思う。今までギャンブルと言われたことはこの逆で路面がまだ濡れているのに滑って当り前のタイヤを選択したことだったと思うけど。そうじゃなかったっけ?何んとも不思議なレースだったな。

へちょりさん|2008年7月7日23時4分

結果を見てタラレバを言っても詮無い事です。
万馬券が出た後になって、「しまった、あの時買おうと思ってたのに…」と
嘆く事と変わりありません。

今回は天候に左右された展開で、慌ててドタバタと作戦や方針を後追いで
変更せず我慢したのは良かったと思います。

博打を打って良い状況ならば打つべきでしょう、しかしあの時点で入賞圏を
走っていたヤルノに博打を打たせて良い状況であったか?と、問われれば、
結果を見て「打つべきだった」という判断は間違いです。

今後、更に苦しい状況で、或いは千載一遇のチャンスで、博打を打つべき
場面は必ずあります。

今回の結果はひとまず良しとして、そして気持ちの中に秘めたる想いは
次のチャンスで必ずや試されるハズです。
結果を見て残念と思うならば、もっと上位で争えるように車の開発やセットアップ
・戦略において、更に力を注ぐよう努力して頂きたいです。

最後に、荒れた厳しいのコース・コンディションの中で車をコースに留め、
最後までベストを尽くして戦ったヤルノに、お疲れ様&入賞おめでとうと
労いの言葉を贈りたいと思います。

cubic-mさん|2008年7月8日17時2分

同じレインレースのためか、イギリスGPを語るときに今季のモナコGPが話題にのぼる。が、モナコはレース全体を俯瞰すると、各チームの戦略ミス、ドライバーの失態が目立った低レベルなレースだった。

対して今回のイギリスは、天候の変化、各チームの戦略、ドライビングレベル、どれをとっても難易度が高く、とてもモナコと比較にならない高レベルなレースだった。どのチームも戦略面とドライビングは、非常に洗練されていたと思う。
トヨタに限らず、どのチームもモナコの雪辱を晴らそうとしていたのではないだろうか。
そんなテンションの高い中、終わって俯瞰してみればトヨタは善戦していたと思う。

「たられば」が多いトヨタの戦略だったが、結果だけみれば、2ポイントゲット。コンストラクターズ・ランキングでレッドブルを抜いた。それを生んだのが、ヤルノのラストラップでの一貴のオーバーテイクである。ヤルノが最後にあの位置にいたから抜けたのであって、結局「作戦なりの結果」だったのではないだろうか。
8位ならレッドブルと同点、7位なら逆転。この差はとてつもなく大きい。ヤルノ、よくやった。
ただ、テストの結果が予選にダイレクトに出なかったのは残念かな。

さて路面温度が高いほど結果の出るTF108。これから夏本番に向けて、グリップをグイグイ効かせて、ブイブイ言わせる日も近いのでは。
次のドイツはティモの母国。ぜひ頑張ってほしい。

FLANKERさん|2008年7月8日22時24分

イタリアのスポーツ新聞のコメント見ました?
「旅行好きの気象予報士募集」ですって。
フェラーリって大変ですね。
4位をとっても、めちゃくちゃにこき下ろされるんですから・・・
周回遅れというのが、もうどうにも我慢ならないようですね。
トヨタもいつの日かそんなふうに言われるチームになれるでしょうか・・・

まりのさん|2008年7月8日23時5分

昨季までのチームだったら今回のような大荒れのコンディションではまともに戦うことすらできなかったし、そのことを思えば今季はまだマシな状況になっている気がします。
タラレバを上げればキリがないですが、それでも2台そろって完走してくれたことはよかったことだし、最後の最後で一貴を抜いて7位フィニッシュを果たしたヤルノはよくやってくれたと思うし、ティモの分までヤルノが奮闘してくれたと思いたいです。
モナコの悪夢があったからこそ、今回のレースではチームも慌てることなく対応できたのかと思うと、戦略的には悪くなかったと思うし、次からのレースでももっと教訓を生かすことができるでしょうね。
今季のトヨタ、少しづつながらもいい面が出てきているので楽しみです!

次はティモの母国GPなので、母国のファンのためにもいいとこ見せられるといいな♪

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トヨタF1 第9戦 イギリスGP [ザッキ]|2008年7月7日23時17分

第9戦 イギリスGP  決勝   シルバーストン・サーキット トヨタヤルノ・トゥ

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